両手いっぱいの花束をあなたに


「花音、無事か?」

「っ…う、うん!!」


颯、今花音って言った!?


颯は、それに気づいていないのか、私の顔を見て少し安心したようにホッと息をはく。


そして、すぐに颯は女の子達に視線を戻した。


「ち、違うのよ!!私たちは、野木さんと、ちょっと話を……」

「そ、そうよ!話をしてただけなんだ、ね、野木さん?」


慌て出す女の子達に、颯は冷たい視線を向けた。


「へぇ……どんな話だよ」


「そ、それはっ……」


ーキーンコーンカーンコーン


すると、女の子達を追い詰めた所で、予鈴が鳴った。


「私たち、授業があるから、教室帰るね!」

「そ、それじゃあねーっ」


予鈴を良いことに、女の子達は走って逃げていく。

颯は、ゆっくりと壁から足を離した。

その顔は、すごく怒ってて、見た事の無い、怖い顔をしている。



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