両手いっぱいの花束をあなたに


「颯、そんな怖い顔しないで……」


「だって、花音を危ない目に合わせた…」


悲しげに八の字になる眉に、引き締められる唇に、私はわざと明るい声を出す。


「颯は悪くないし、私はこれくらいじゃ、へこたれないから!」


そう言って、安心させるように笑うと、颯は「はぁー」っと息をはいて、困ったように笑った。


「花音は、俺よりずっと強いんだな……一生、敵わない気がしてきた」


颯は、頬を包む私の手に、自分の手を重ねる。


温かいなぁ……颯、やっと笑ってくれた。


それが嬉しくて、また笑みを浮かべると、颯はそのまま、そっと私を胸に引き寄せる。


「へっ……?」


ーポスッ


颯の胸に収まると、颯はギュウゥゥッと、私を強く抱き締めた。




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