両手いっぱいの花束をあなたに



「本当に心配した……無事で、良かった…」

「っ……」


颯の心臓の鼓動が…聞こえる。

激しく打ち付けるような雨音も、遠くに感じた。

ートクン、トクン、トクン。


あぁ、安心する……子守唄を聞いてるみたい。



「颯……ありがとう、助けにきてくれて」


「当たり前だろ、俺の花音なんだし」


「あ………」



また、私の事呼び捨てにした。


ねぇ、颯……気づいてる??


あれだけお願いしても、先輩を外せなかったのに、いつの間にか呼び捨てで呼んでるんだよ。


「どうかしたか?」


小さく声を上げる私から、少し体を話して、不思議そうに見下ろしてくる。



「ふふっ、颯、気づいてないんだね、私を呼び捨てにしてるの」


笑いながらそう言うと、みるみると颯の目が驚きに見開かれる。

そして、ボンッと顔を真っ赤にした。








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