両手いっぱいの花束をあなたに
ー昼休み。
教室でいつものように、美緒とつっくんとお弁当を食べる。
私は、今朝の事を2人に話した。
「朝、血相を変えた颯くんに会ったから、私も気が気じゃなかったの」
「美緒、颯に会ってたの?」
「うん、朝下駄箱でね。颯くん、本当に花音が大事なのね、花音が危ないって知った時、すごい勢いで走ってったから…」
そっか…。
颯、一生懸命追いかけてきてくれたんだ。
颯が来てくれたから、私はきっとあんな風に笑えたんだ。
でなきゃ、きっと弱気になって、泣いてたに違いない。
「大事に、されてるみたいだな、花音」
「つっくん……うん、大切な人なんだ」
颯、私はね……不思議なんたけど、どんな時でも、どこにいても……颯の姿を探してしまうんだよ。
笑いかけてくれたり、抱き締めてくれたりする度に、不安なんてどっかにいっちゃう。
声を聞くと、安心する……。
傍にいたいって、名前を呼んで、私を特別にしてほしいって思うんだ。