両手いっぱいの花束をあなたに



私は、いつものように昼食を終えると、靴を履き替えて、傘を差しながら中庭の花壇へと向かう。


雨が降ってるから、今日は水やりはいらないけど、様子は見ておきたいしね。


中庭にたどり着くと、いつもなら人気の無い中庭が、やけに騒がしかった。


「うっわ、ひでぇー」

「ここ、世話してた人いなかった?」

「何かの嫌がらせとかかな?」


あれ、どうしたんだろう。

やけに、人が集まってるみたいだけど……。


中庭のすぐ隣にある一年生の教室前の廊下から顔を出してる人や、外の体育館に繋がる廊下からこちらを眺めている生徒がいる。


私が、雑草を入れるバケツを持って花壇に近づくと、それに気づいた生徒が、気まずそうに私を見た。


「い、行こうぜ」

「あ、あぁ……」


そう言って、私を見た途端にぞろぞろと人がいなくなる。

そして、目の前が開けた瞬間ー。


「っ!!」

な、何これっ!?


目の前には、無惨に踏み潰されて、引きちぎられたポーチュラカの花達。




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