両手いっぱいの花束をあなたに
私は、ガタッと手からバケツと傘を落とした。
カラカラと、バケツは地面を転がり、数十センチ先で虚しく止まる。
衝撃で、頭が働かなかった。
「な、なんでっ………」
大切に育ててきた。
3年間、大切に、大事に、愛情込めて……っ。
ーポタッ、ポタッ
涙が、頬を伝って、雨に濡れた地面に落ちた。
なのに、私の悲しみさえ、雨に濡れた土に吸い込まれて、跡形も残らない。
「こんなっ……酷い事っ……」
涙で歪んだ視界、私はその場から動けずに、ボロボロになったポーチュラカ達を見つめて立ち尽くした。
どうしたら良かったの。
たぶん、これはあの女の子達、颯のファンの子達だ……。
それ以外、思い当たる節がない。