両手いっぱいの花束をあなたに


私は、ガタッと手からバケツと傘を落とした。

カラカラと、バケツは地面を転がり、数十センチ先で虚しく止まる。


衝撃で、頭が働かなかった。


「な、なんでっ………」


大切に育ててきた。

3年間、大切に、大事に、愛情込めて……っ。


ーポタッ、ポタッ


涙が、頬を伝って、雨に濡れた地面に落ちた。
 

なのに、私の悲しみさえ、雨に濡れた土に吸い込まれて、跡形も残らない。


「こんなっ……酷い事っ……」


涙で歪んだ視界、私はその場から動けずに、ボロボロになったポーチュラカ達を見つめて立ち尽くした。


どうしたら良かったの。

たぶん、これはあの女の子達、颯のファンの子達だ……。

それ以外、思い当たる節がない。





< 145 / 351 >

この作品をシェア

pagetop