両手いっぱいの花束をあなたに



「花音ーーっ!!」

「え………?」


聞き覚えのある声に、私は顔を上げる。

すると、そこには、会いたくてしかない人がいた。


必死な顔で、傘も差さずに私に駆け寄る颯に、私は立ち上がる。


そして、一歩前に足を踏み出して…。


「ううっ、颯ーっ!!」

「花音っ!!」


ーガバッ!!


私は、半ば体当たりするかのように、強く抱きつく。

すると、颯はよろける事なく、強く、抱きとめてくれた。



「ううっ……」


私は、颯の胸にすがりついて、子供みたいに泣きじゃくる。


なんでかな、颯がいてくれると思ったら、ポロポロと涙が止まらなくなった。



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