両手いっぱいの花束をあなたに


ーあの日は、酷い雨だった。


入学式が終わって、校舎を出る時には、ザーザーの雨。


もちろん、入学式当日に友達がいるわけでも無いし、傘を忘れた私は、この中でバスをまたなきゃいけない。


「はぁ……」


だって、家を出た時はあんなに晴れてたのに。

たった3時間、その間にこんなに天気が変わるなんて、天変地異かと思うよ。


折り畳み傘、バックに入れておけば良かった。

まさか雨が降るなんて……思ってもみなかったんだもん。


ーザァァーッ


雨の中に1歩出てみれば、雨音がさらに強く聞こえる。

数歩歩けば、髪からしたたるくらいにズブ濡れの濡れネズミ状態。


バス停に着くと、私は時刻表を見て驚愕した。


「20分も待つの!?」


ー泣きたい……。

今すぐここで泣きわめいてしまいたい。


もう、いくら春だからって、こんな空から大量の冷水に撃たれてたら、体も冷える。

 



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