両手いっぱいの花束をあなたに



「花音にとって、花は大切な存在だろ!!」


「っ!!」


驚く事に、私の本当の気持ちに気づいていたのは、颯だった。


「それを傷つけられたんだ、泣くに決まってる!!」


「颯っ……」


颯が、気づいてくれていた事が嬉しくて、また涙が溢れてしまう。


そうだ、私にとっては、大事な事。


人と花は、私にとっては同じくらい大切なのに…。



「颯………私、自分が何をされても、別にいい。だけど……大事な……花を傷つけられるのは…辛いよ…っ」

「っ……花音っ……」


ーギュッ!!


「そうだな、そうだよな………っ。ちゃんと守ってやれなくて、悪かった…っ」


また、強く抱き締められる。

それに甘えるように、頬を擦り寄せて、たくさん泣いた。









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