両手いっぱいの花束をあなたに


「花音、これ、どうしたらいいんだ?」


ボロボロになった、ポーチュラカの花を両手に乗せ、頬には土をつけながら、私を振り向く颯。


土に汚れても、真剣に花に向き合ってくれた。

本当に、優しい人なんだよね、颯は。


「こ、これはっ……」

「花音、どうした?顔が赤……まさか、雨に濡れて風邪引いたか!?」


そう言って、ズイッと顔を近づけてくる颯に、私は慌ててのけぞる。


「だだ、大丈夫だからっ!!ち、近いっ!」

「え、わ、悪いっ!!」


赤くなる私に、颯も真っ赤に頬を染めた。

わぁ、もうっ、颯の顔、真っ直ぐ見れない!!


今日この日、私は颯の事を『好き』だと、自覚した。


リンドウの花言葉みたいに、悲しみに寄り添ってくれた颯に、この世界中で、生まれて初めて、恋をした。





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