両手いっぱいの花束をあなたに
6.チューリップ
ーまずい。
颯への想いを自覚してからまる一日。
心臓がバクバクして、軽く息切れをするくらいに酷い。
「美緒、心臓がずっと動いてて、私って病気かな?」
「止まった方が病気でしょ」
私の一言に、美緒は呆れた目で私を見る。
私は、目の前に座る美緒に颯を好きになった事を報告した。
「むしろ、気づいてなかったの?って思ったけどね、私は」
「え、そうなの?」
「颯くんといる花音は、すっごく良い顔で笑ってたし…もうとっくに気づいてると思ってたよ」
そっか……私、颯の前では、良い笑顔をしてるんだ。
それは、きっと颯がそうさせてる。
「颯ってね、向日葵みたいにぱぁってキラキラした笑顔なんだ!たから、私もつられてるのかも…」
「へぇ~、花音ってば、ノロケ??」
「えぇっ、ノ、ノロケっ!?」
ノロケをしたつもりは無いけど、でも…私は颯の笑顔が、すごく好きで……。
そう、すごく好き、なんだけど……。