両手いっぱいの花束をあなたに
高校の前の横断歩道を渡った所にあるバス停に、ずぶ濡れの高校生1人。
「やー、可哀想ー、クスクスッ」
「傘貸してあげなよー!アハハッ」
向かいの歩道から、同じ制服の生徒達がこっちを見ながら笑ってる。
失礼だなぁ、好きでこんなになってるわけじゃないのに。
むっ、と頬を膨らませていると、不意に雨が止んだ。
ーやった、止んだじゃん。
そう思って道路を見ると、ピチャ、ピチャッと雨が地面にぶつかって跳ね返るのが見えた。
「あれ、冷たくない?」
私が両手を広げて首を傾げていると、「クスッ」と後ろから笑い声が聞こえた。
振り返ると、似た顔が2つ。
一人は黒髪ロングの女の子で、もう一人は黒髪メガネの男の子。
「おお、同じ顔っ」
「ぶっ!あははっ!」
感動していると、女の子がついに吹き出した。
そんな女の子を無視して、男の子がスクールバックから、タオルを取り出した。