両手いっぱいの花束をあなたに


ー放課後。


私は、颯に会うために、体育館へと来ていた。


すると、ダンッ、ダンッとボールがバウンドする音、キュッキュッとシューズが床に擦れる音が聞こえてくる。


「すぅぅー、はぁぁっ」


体育館の扉の前で深呼吸する。

そして、ソロリと、体育館の中をのぞき込む。


「キャーッ!!」

「颯くん、シュートーッ!!」

「やぁーん!カッコイイーっ!!」


今日も、盛大な声援と共に、颯は全力で体育館を駆ける。

そして、次々と先輩をすり抜けて、ゴールへと一直線に進んでいく。


誰にも止められない、一陣の風のようだなと、思った。


「っらぁっ!!」


颯は、強く踏み込んで、ゴールに吸い込まれるように飛翔する。


「っし!!」


ーダンッ!!


すると、颯は勢いよく、ボールをゴールに叩き込んだ。

ーダンクシュートだ!!


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