両手いっぱいの花束をあなたに


「やっ……」

「「「キャーッ!!」」」


やったーっ!!と、叫ぼうとして、私の声は、周りのファンの子達の声援にかき消された。


あ、危ないっ……颯に、気づかれる所だった…。

って、颯に会いに来たのに、何で隠れてるんだろう、私は!!



「私の、バカ………はぁぁっ」


扉の影に隠れて、私は魂まで出ていきそうな、深いため息をついた。


「颯、お前また爆走かよ!」

「ッス、先輩でも、絶対負けませんから!!」


不敵に笑う颯に、ドキッと不覚にもトキメイてしまった。


あぁ、一回自覚すると、颯がいつでもどこでも、かっこよく見えちゃうんだ、これが。


扉に張り付いて、颯の姿を盗み見る私。

これじゃあストーカーみたいだ。







< 161 / 351 >

この作品をシェア

pagetop