両手いっぱいの花束をあなたに
「やっ……」
「「「キャーッ!!」」」
やったーっ!!と、叫ぼうとして、私の声は、周りのファンの子達の声援にかき消された。
あ、危ないっ……颯に、気づかれる所だった…。
って、颯に会いに来たのに、何で隠れてるんだろう、私は!!
「私の、バカ………はぁぁっ」
扉の影に隠れて、私は魂まで出ていきそうな、深いため息をついた。
「颯、お前また爆走かよ!」
「ッス、先輩でも、絶対負けませんから!!」
不敵に笑う颯に、ドキッと不覚にもトキメイてしまった。
あぁ、一回自覚すると、颯がいつでもどこでも、かっこよく見えちゃうんだ、これが。
扉に張り付いて、颯の姿を盗み見る私。
これじゃあストーカーみたいだ。