両手いっぱいの花束をあなたに


「か、花音っ!!」

「は、颯っ……」


ど、どうしよう!!

神様、助けてぇぇーっ!!


頭はパニック状態で、混乱中。

そして、使えない頭で、導きだした答えは……。



「ご、ごめんなさいぃっ!!」


そう、導きだした答えは、『逃走』だった。


「えっ、おい、花音っ!?」


慌てて追いかけて来ようとする颯に、ピィィィーッとマネージャーの笛が鳴る。


「颯、練習に戻って」

「あ、あぁ………」


マネージャーに止められる颯から、私は全力疾走で逃げ出した。


うぅ、数秒前、颯に想いを伝えるって決めたのに。

ヘタレな私のばか野郎!!


スカートがひるがえろうと、髪が振り乱れようと、もう気にもならない。

それほどまでに、私はパニックだった。


結局、颯を前に耐えられず、私は逃げ出してしまった。





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