両手いっぱいの花束をあなたに


「ありがとう、ございましたー!」


花屋の手伝いで、私は今しがた、バラの花束を買っていったお客さんを見送った。


「はぁ……」


お店のある、イチョウ並木に出て、私はため息をついた。


私は、体育館での事をまだ引きずっていた。


仕事してても、全然集中出来ないし、考えるのは、颯の事ばっかり…。


あの後、家に帰った私は、お店の制服、ワイシャツとジーパンの上から、茶色のエプロンをつけて無心に働いた。


「颯くん……」


空を見上げると、夕暮れがまた、胸を切なくさせる。


まさか、このまま颯と話せなくて、別れたり……っ!!


嫌な想像をしてしまって、私はブンブンと頭を横に振った。


そして、店の中に戻ろうとすると、「すみません!」と、背中に声をかけられる。





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