両手いっぱいの花束をあなたに


「無い……か?赤いチューリップ……」

「あ……ううん、あるよ!!」


私は、慌てて店の中へと入って、颯に頼まれた通り、赤いチューリップを手にとる。



赤いチューリップなんて、颯どうして……。

だって、赤いチューリップの花言葉は、『愛の告白』だよ?

だ、誰に贈るんだろう……。


私は、ラッピングをしながら、だんだん不安になってきた。


もしかして、私が避けてたから、颯…他に好きな人が出来たのな?


颯なら、モテるし、女の子選びたい放題だし…。


好きって言ってくれたけど、私を、好きになってもらえるような要素も無いし…。


「………………っ」


あぁ、どうしよう。

すごく、不安になってきた……。


私は、なんだか泣きそうになって、涙が滲んだ。

歪む視界で、出来上がったチューリップの花束を手に持つ。





< 166 / 351 >

この作品をシェア

pagetop