両手いっぱいの花束をあなたに
「無い……か?赤いチューリップ……」
「あ……ううん、あるよ!!」
私は、慌てて店の中へと入って、颯に頼まれた通り、赤いチューリップを手にとる。
赤いチューリップなんて、颯どうして……。
だって、赤いチューリップの花言葉は、『愛の告白』だよ?
だ、誰に贈るんだろう……。
私は、ラッピングをしながら、だんだん不安になってきた。
もしかして、私が避けてたから、颯…他に好きな人が出来たのな?
颯なら、モテるし、女の子選びたい放題だし…。
好きって言ってくれたけど、私を、好きになってもらえるような要素も無いし…。
「………………っ」
あぁ、どうしよう。
すごく、不安になってきた……。
私は、なんだか泣きそうになって、涙が滲んだ。
歪む視界で、出来上がったチューリップの花束を手に持つ。