両手いっぱいの花束をあなたに


「おう、はい、これ……」


「3000円のお預かりですね……」


ーピッ、ガチャン


レジを打って、そこからお釣りの155円を取りだし、レシートを取った。


「155円のお釣りです……」

「どうも……」


そう言って、颯は赤いチューリップの花束を大事そうに抱える。

どうしよう、颯が帰っちゃう……っ。

花束の事、聞いてもいいかな……ううん、聞きたい。


「ねぇ、颯っ!!」

「なぁ、花音!!」


すると、私と颯はほぼ同時に声を発した。

そして、お互いの顔を見つめながら、呆然とする。


「ぶっ、くく………悪い、先に話す?」

「ぷっ、ふふっ……うん、じゃあ……」


良かった、この雰囲気なら、話せそう。

ちゃんと、今までの事、話さなきゃ……。





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