両手いっぱいの花束をあなたに
「本当は、花音の心が離れたのかと思って、焦って思いついたんだけど……」
颯は、そう言って手に抱えていた赤いチューリップの花束に、視線を落として笑う。
「今は、想いも通じあった事だし……これは、俺の誓いな」
「誓い……?」
首を傾げると、颯は地面に片足をついて、ありえない事に、私に膝まづいた。
………ええっ!?
こ、これは一体どういう状況っ!?
私は、颯の行動に驚きながらも、目が離せない。
「野木 花音さん」
膝まづいた颯は、ゆっくりと顔を上げて私の名前を呼ぶ。
そして、私と颯は見つめ合うように視線を絡めた。