両手いっぱいの花束をあなたに


「ソレ、何なのよ!」


お母さんは私のフライパンを指差す。


ージューッ

これは、現在進行形で焼いている卵焼きだ。


「卵焼き………」


自信なさげにボソボソと答える。

目の前の白い皿にあるのは、黒い炭の残骸。


「それを食べたら、確実に死ぬわね」


死ぬとは言い過ぎだよ!!

血も涙も無いお母さんの一言に、私は泣きべそをかく。


「だってー……今回はどうしても自分で作りたいの!」


大して上手くもない料理に挑戦しているのには、訳があった。

事の発端は、2日前、颯の部活を見に行った日に遡る。



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