両手いっぱいの花束をあなたに
「ごめん、同時だったから名前聞き取れなくて」
私が、聖徳太子だったなら、きっと聞き取れた。
残念ながら普通の平凡な女子高生なので、そこは多目に見てほしい。
「見て分かると思うけど、私が双子の姉、美緒。それでこっちが……」
「見て分かると思うけど、兄に間違われる、弟の勉」
美緒に、勉……よし、覚えた。
「ちょっと、つっくん!!私が姉に見えないって、どういう事!?」
ーつっくん……。
つっくん……つっくん!?
まるで、頭に雷がドカーンッと落ちたような衝撃。
聞き間違えじゃなければ、このクールな感じからは想像出来ないニックネームが…。
あぁ、でも……可愛いかもしれない。
「つっくんは止め…」
「つっくん、私もそう呼んでもいい?」
その可愛いニックネームに負けて、私はついそんなお願いをしてみる。
もうつっくんが何て言おうと、私の中では、もうつっくんで決定した。