両手いっぱいの花束をあなたに


「はぁ~、疲れた……」


颯はそう言って、天井を見上げる。


颯、すごい汗……。


仰いだ颯の顎から首筋に、ダラダラと流れる汗だくが、颯の練習量がものすごい事を悟っていた。


顔も赤いし、グッタリしてる……。


私は、鞄からタオルを取り出した。


前は、タオルとか持ってきてなくて、ファンの子に先越されちゃったから…。


「颯、頑張ったね」


自分のタオルで、颯の汗を拭いてあげた。


「うっす……照れるな……。しかも、花音のタオル、良い匂いする」


「え!匂い??」


「なんか、花の匂いか?」


「あー!柔軟剤だ、春限定のフラワーフレグランス!」


うちは、いつもこの柔軟剤を使ってるから、気にしてなかったけど…。





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