両手いっぱいの花束をあなたに


私は笑いを堪えて、ゆっくりとその人に近づく。


「こんにちは、迷子さんですか?」


「あぁ!?」


声をかけると、その人は、やっぱり柄が悪い返事を返して、勢いよく私を振り返った。



すると、その人はシルバーの髪だけでもイカツイのに、耳にもジャラジャラとピアスをつけている。


切れ長の目が、さらに目ぢからを強めてて、怖い。


「迷子だ、文句あんのか!?」


「イヤ、全然無いけど……」


「じゃあ、何で声かけてきやがった!?」


「困ってるのかなって、思って……」


んー、違うのかな?


だったら、やっぱりヤンキーに構うのは良くないし、早く颯の試合を見に行きたいんだけど…。







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