両手いっぱいの花束をあなたに
「遅くなったー、ごめん!」
体育館にたどりつくと、席から美緒とつっくんが手を上げてくれた。
「じゃあ、黒崎くんも頑張ってね!」
「お、おー……」
ぼんやりが抜けない黒崎くんを横目に、私が歩き出すと、「花音ーっ!」と名前を呼ばれた。
声が聞こえた方を振り返ると、颯が私に駆け寄ってくる。
「颯!!」
「花音の姿見えなかったから、心配したぞ。来てくれて、あんがとな」
颯は、ポンポンと私の頭を撫でる。
颯は、赤い7番ゼッケンに、赤地に白のボーダーラインの入ったリストバンドをつけている。
「へへっ、そうだ颯、私お守りを作ってきたの!」
「え、マジ!?」
「はい、どうぞ!」
私は、グラジオスの押し花ペンダントを颯にプレゼントする。