両手いっぱいの花束をあなたに


「すげー、これ花音が作ったのか……?」


「今度うちのお店で出す試供品なんだけど、グラジオスで作るペンダントは無いから、これは1点モノだよ!」


「世界で1つだけって事だな、すげぇ嬉しい。グラジオスの花言葉は?」



ここで、「花言葉は?」って聞いてくれるのが嬉しい。

私にとって花を贈るって事が、大切な意味を込めてるって分かっててくれてるって事だ。


「もちろん、『勝利』だよ!」


「俺の為に、選んでくれたのか、ありがとな!」


「あっ、颯……」


私は、颯に渡したペンダントを奪って、颯の首に手を回そうとする。


あれ、ペンダントつけてあげようと思ったのに、颯の背が高くて届かないっ!!


「か、花音……な、何してんだ?」


「ペンダントね、つけてあげようと思って……あ、颯動かないで!」


颯は、まるで、私から離れるように後ろに下がってしまう。


「っ……花音っ」


ペンダントを持って、また一歩近づくと、バンドが逃げるなら、なんだか近距離鬼ごっこをしてる気分だ。





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