両手いっぱいの花束をあなたに
「あの…さ、花音。気づいてねぇーみたいだから言うけど、すげぇ近いんだけど…っ」
「……へ??」
顔を上げると、颯と鼻がぶつかりそうなくらい近い距離で目が合う。
颯の顔がすごく赤くて、私はようやくそこで状況を理解した。
私、私はなんて事を!?
ほとんど無意識だったから、全然気がつかなかったよ!!
「はわっ、ご、ごめんっ!!集中してて、気がつかなかった…」
「だと思った。まぁ、俺は嬉しいけどな……」
そう言って、颯は私の腰に手を回す。
え……颯、何して……。
「っしょ!」
ーフワリ
「わぁっ!?」
突然、体が宙へと浮く感覚。
気づいたら、私は颯に、軽々と両手で抱き上げられていた。