両手いっぱいの花束をあなたに
応援席へと戻ってくると、美緒とつっくんの間に、座らせられる。
「遅かったな」
「ちょっと、色々あって……、つっくん、美緒。私、なんで2人の間なの?」
双子に囲まれる私。
いつもの事だけど、なんだか2人はピリピリしているように見えた。
「花音は私たちのモノなのに!」
「つまり、他の男に取られるのが、気にくわないって事だ」
美緒の言葉を、つっくんが説明する。
だけど、今回ばかりは、つっくんの解説の意味も分からなかった。
「花音、私たちは1番の親友よね!?」
ガシッと左側に座る美緒に、左腕を掴まれる。
「うん!もちろんだよ!!」
そう答えたと同時に、今度は右側に座るつっくんに、ガシッと右腕を掴まれる。
「花音は、俺の妹だ、そうだな?」
「うん!もちろ……え、私、いつからつっくんの妹に?」
つい勢いよく返事しかけて、「あれ?」と首を傾げる。
つっくんの顔を見上げると、つっくんは悲しげに、言わば捨てられた子犬のように、私を見つめてくる。