両手いっぱいの花束をあなたに


ー昼休み。

「ごちそうさま」


お母さんお手製のお弁当を食べ終わると、それを片付けて、バックにしまう。


カタンッと私が立ち上がると、美緒とつっくんが見上げてきた。


「花音、今日も行くの?」

「熱心だな」


私が立ち上がった理由を知っている2人は、そんな風に私に声をかける。


「うん、私が好きでやってるからね」


そう、この後はいつも、中庭の花壇の手入れをするのが、学校へ来て一度も欠かさずにやっている日課。


「んじゃあ、行ってきます」


そう言って教室を出ようとする私の後ろで、2人がなにやら話している。


きっと、美緒あたりは頭までお花畑だって、ネタにしてるに違いない。

たいした話じゃないに、決まってる。


「本当に好きだよね、花!まぁ、花と戯れる花音…想像するだけで可愛い」


「美緒はいつもそれだな。まぁ、分からなくもない」


遠くて聞こえなかったので、少し内容が気になったけど、私はすぐに花の事を思い出して、中庭へと向かった。






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