両手いっぱいの花束をあなたに



「陸!!」


滝川くんは、一緒に走る篠田くんに、声をかける。

それだけで、篠田くんは二ッと笑って頷く。


「おうよ、キャプテン!!」


滝川くんが何をしようとしているのか、篠田くんは分かったみたいだ。


篠田くんはなぜか後ろへ下がり、滝川くんは別のメンバーに、ボールをパスする。



「させねーから!!」

「っ、あ!!」


ーバンッ!!


ゴールに近づいたうちの学校の選手のボールを、相手チームの黒崎くんが、カットした。


「ハハッ、弱ぇなぁー!!」

「弱いのは……どっちだよ!!陸先輩っ!!」


すると、颯がさらに黒崎くんのボールをカットして、後ろにボールを回す。



「チョコレート頭!?つか、後ろにパスするとか、バカかよ!?」

「いーんだよ、コレで!!」


驚きに目を見張る黒崎くんに、颯は二ッと不敵な笑みを浮かべる。



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