両手いっぱいの花束をあなたに


「美緒先輩、生徒会長……俺、絶対に負けないんで!!花音先輩も、必ず守るッス」


「あぁ、俺たちの大事な娘だ」

「娘!?」


颯に、私の事を「娘」だと答えるつっくんに、私は声を上げる。


私は、妹から、ついに娘になった。


「つっくんなりに、花音を大事にしてるのよ」

「そういうモノ……?」


美緒に言われて、私は不思議に思いながらも、鞄を持つ。

この中には、颯へのお弁当が入ってるのだ。


「2人でご飯食べて来なよ!」

「俺も……」

「つっくんは、ここにいなさい」

「うう……」



明らかに落ち込むつっくんを、美緒が慰めている。

ここは美緒に甘えて、私は颯の手を引いた。


「颯っ、お弁当食べて!」


早く食べてほしくて、私はグイグイと颯の手を引いてしまう。


「花音っ……あぁ、すげぇー楽しみ!!」


颯は、照れながらも、嬉しそうに笑ってくれた。

私と颯は、体育館のコートの隅に腰を下ろす。

私は、ランチマットの上に、お弁当を広げた。






< 217 / 351 >

この作品をシェア

pagetop