両手いっぱいの花束をあなたに
「空いてる席……あ、あった!!!」
美緒が走って、席を確保してくれる。
私とつっくんは、美緒の確保してくれた席について、ようやく一息ついた。
「なんか、ドキドキしてきたぁ……」
なんだか、自分の事のようにドキドキする。
颯……颯なら、きっと大丈夫だよ。
そう思ってても、緊張はするから、しょうがない。
♪~♪~♪~
すると、鞄の中で、スマホが震えた。
ディスプレイには、『颯』の文字、着信相手は、颯だった。
ーピッ!!
「は、はい!!」
『花音、もう会場着いたか?』
電話に出た颯の声は、いつも通りの、自信に溢れた声だった。
良かった……。
颯の声を聞いて、なぜか、私がホッとしてしまった。
「うん!もう応援席にいるよ!」
『………試合前に、花音の顔見てぇーんだけど、選手の控え通路まで来れるか?』
「わ、分かった!今から行くね!」
『おう、待ってる』
そこで電話を切って、私は美緒とつっくんを振り返った。