両手いっぱいの花束をあなたに
「颯くんでしょ、早く行ってきな!」
「迷ったら、連絡してくればいい」
私が何か言うよりも早く、美緒とつっくんが私を笑顔で送り出してくれる。
「ありがとう、2人とも!行ってきます!」
そんな2人に感謝しながら、私は一秒でも早く会いたくて、颯のいる控え室まで向かった。
案内図を見ながら、なんとか控え室前の廊下までたどり着く。
すると、赤い7番のゼッケンをつけた颯が、壁に寄りかかりながら、静かに目を閉じていた。
私は、そんな颯にゆっくりと歩み寄る。
「……………?」
すると、私の気配に気づいたのか、颯はパッと目を開けて、私に視線を向けた。