両手いっぱいの花束をあなたに
「早かったな、花音」
「早く、颯の顔見たかったから、急いじゃった」
「っ……また、そーいう事言ってると……」
そう言って、颯はニヤッと笑い、私の両頬を摘まんで引っ張った。
「い、いひゃいよ……はやえっ」
「ぶっ、くく!言えてねーの!」
颯は楽しそうに笑って、手を離すと、私の頭をポンポンと撫でた。
「私服、すげー可愛いのな……」
「えっ、そ、そうかな!?」
嬉しい、颯に服誉められた!!
可愛いって、言ってくれた!!
そう舞い上がっていると、ふと先程の事を思い出す。
あの時、目を閉じてた颯は、なんだか集中しているように思えた。
私がいて、気が散ったりしないのかな…。
私は、背の高い颯を見上げて、その顔をジッと見つめる。
「不安そうな顔、どーした、花音」
私の不安に気づいた颯が心配そうに尋ねてくる。
私は、正直に聞いてみる事にした。