両手いっぱいの花束をあなたに



「試合前なのに、私に会ってて大丈夫?精神統一とか!」


「精神統一………ってあぁ、さっき目ぇ瞑ってたやつの事、気にしてたのか?」


私は、コクンと頷く。

すると、颯は優しい笑みを浮かべて、やっぱり私の頭を撫でる。


「今までなら、一人で精神統一して、試合に望んでたんだけどな……。いつの間にか、花音の事が気になって、会って顔見て、その笑顔を見た方が、勝てるような気がしてくんだ」


「それ、この前の練習試合の時も言ってたね?」


黒崎くん達との練習試合の時、颯は私をお守りだって、言ってたっけ……。


「俺の中で、花音の存在がどんどん大きくなってくのが分かる…。なぁ、花君……俺に勝てる魔法かけてくれよ」


「魔法??」


「何でもいい、前にくれた『グラジオラス』のペンダントみてーに、花音の何か、くれねー?」


私の何か………何か……。

そう考えて、私はふと思い立った。

こんなの、自分からするのは、恥ずかしいけど…。





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