両手いっぱいの花束をあなたに


「もっと、したくなるって言ってんだぞ……っ」

「んっ……」


颯は、私の唇にキスを落とした。

それに、心臓は壊れたみたいにドキドキと鳴りっぱなし。

唇が離れる頃には、颯の胸にぐったりと寄りかかっていた。


「うぅ……颯って、いつの間にか私より大人になってるよね」


「ん?そうか??」


気づいてないから、恨めしい。

私は、いつだって颯に翻弄されて、余裕が無いのに。


これじゃあ、私が何か言う度に照れてた颯と、最初の頃と立場が逆だなぁ……。



「この大会で残れれば、インターハイだ。花音を、絶対インターハイに連れてってやるから」


「…うん、颯が輝ける場所、私も見てみたい!」


私たちは手を繋いで、指を絡める。

そして、今度は自然に近づく顔に、そっと瞳を閉じた。


どうか、颯の進む道が、光に満ちていますように…。

そう、心に強く願いながら……。




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