両手いっぱいの花束をあなたに


「♪~♪~」


鼻歌を歌いながら、水滴を乗せてキラキラと光るポーチュラカに水をやる。


すると、不意に視線を感じた。


「ん?」


鼻歌を止めて、後ろを振り返ると、各教室の廊下の窓がある。

換気の為か、開け放たれている窓には、こちらを見ている人はいない。


1階の1年生のクラスがあって、こっちなんて見る余裕もないくらいに楽しそうに駆け回る男子生徒達が見えるだけ。


うーん、気のせいかな…。


実は……って、これも実はって事でもないけれど、私はすごく鈍い。


公園のベンチに腰かけて、花を眺めていた時の事だ。


いつの間にか隣に、猫が丸まって座ってた事があったけど、それにすら気がつかなくて、びっくりした事がある。






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