両手いっぱいの花束をあなたに
「………ふぅ、疲れた……」
「ふふっ、お疲れ様、颯!」
ジャージにエナメルバックをかけた颯に、私は労いの声をかける。
インターハイ予選は、物凄い数の高校が出場するから、一日2回戦、颯にはAブロックであと3回試合が残っている。
「Aブロックが終わっても、他のB、C、Dブロックの決勝リーグがあるからな」
「全部で、4ブロックあるんだよね、本当、すごい人数でびっくりしたよ」
2回戦を終えた頃には、16時で、私はクタクタになっている颯と一緒に、最寄り駅から家までの道のりを歩いている。
「だよな、俺も少し怖くなったわ」
夕暮れが、私達の影を伸ばして、一つになっているのを、見つめながら、颯に話しかける。
「あんなに、生き生き戦ってたのに??」
私から見た颯は、すごく楽しそうで、緊張もあるんだと思うけど、それより試合を楽しんでたように見えた。