両手いっぱいの花束をあなたに


ーインターハイ決勝リーグ当日。  


颯たちは、残り3回の試合も大きく点差を引き離して勝利し、4ブロックの決勝リーグが始まった。


颯達は、A、Bブロック同士の試合も制し、残りはC、D同士、勝った方のどちらかとの試合。


そしてC、Dブロックには……。


「黒崎 雷牙………」

「黒崎くんも、決勝リーグにまで残ってたんだね」


そう、今目の前では、黒崎くんと三雲くんの高校が戦ってる。

応援席で、私の隣に座って試合を見守る颯。

その顔は、どこか緊張しているように見えた。



「正直、あのヤンキー野郎は侮れない。俺でも、互角だと思った……そんな選手、今まで会った事ねーよ」


「颯……」


不安そうな颯の手に、私は自分の手を重ねた。

すると、颯は驚いたように私を見つめる。


「颯は、一人じゃないよ、仲間には、篠田くんとか、滝川くんとか……頼れる仲間がいるじゃん」


「………あぁ、それに花音っていう女神もついてる」


「あはは、それは大げさだけどね」


私たちは、重ねた手もそのままに、黒崎くんと三雲くんの試合を見つめる。





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