両手いっぱいの花束をあなたに


「あいつ、どんどん強くなってんな…。俺なんか、高校に入ってから、なんの進歩もねぇ……」


「颯、颯だって強いよ!」


「おう、ありがとな……」


励ましたくてそう言った私に、颯は笑みを浮かべる。

あ……颯、本気で笑ってない。


私、分かるよ?

颯の彼女なんだもん、作り笑いかどうかなんて……。



「オイ、そこのチョコレート頭!!」


すると、コートから、試合を終えた黒崎くんが、颯をビシッと指差した。


「……………よお、ヤンキー野郎」


颯は、応援席から立ち上がって、黒崎くんを見下ろす。

黒崎くんはニヤッと笑った。


「次は、ブッ潰す!!」

「出来るもんなら、やってみろ」


黒崎くんに負けじと颯は笑う。

だけど、その笑みにいつもの覇気は無かった。




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