両手いっぱいの花束をあなたに
それをぼんやりと見送っていると、ふわりと後ろから颯に抱き締められた。
「はや……」
「サンキュー、嬉しかった……」
その弱々しい声に、私は胸がキュッと切なくなった。
私は、抱き締める颯の腕に手を添える。
「颯が、好きなんだよ……」
だからね、ちゃんと分かってくれるまで、何度でも言うからね。
颯だけを、ずっと見つめてるよ……。
だから、不安な顔しないで、安心してほしい。
「おう、次も花音の為に頑張るから」
「うん、応援してる」
勝つよ、とは言わなかった颯に、私は不安になる。
颯、大丈夫だよね……?
なんたか、胸の奥底がモヤモヤとして、気持ち悪い。
それから目を逸らすように、私はそっと目を閉じた。