両手いっぱいの花束をあなたに
「切り換えるぞ、気合い入れ直せ!!」
「「オォーーッ!!」」
滝川くんの一言で、みんなの士気が上がる。
その中でも、颯だけは俯いていた。
「颯っ……」
私は、胸の前で手を合わせる。
颯、颯なら大丈夫だよ、だから、いつもみたいに楽しくバスケしてっ……。
なんだか、泣きたくなった。
私は、あの生き生きとした颯が見たいんだよ……。
「颯、俺たちもいる、次、取り返すぞ!」
「陸先輩………どもッス」
篠田くんと颯は、拳を付き合わせる。
颯は、両頬をパンパンッと叩いて、背筋を伸ばした。
「頑張れ、颯………」
「颯くん、だいぶ緊張してるね?」
隣の美緒が、不安そうに試合を見つめる。
「あんな颯、初めて見たんだ……私は、何がしてあげられるんだろう…」
「花音は、傍にいてやるだけでいい。声を聞くだけで、颯くんの力になるんじゃないか?」
「つっくん……うん、そうだよね!」
私は、颯の傍にいて、不安なときは寄り添う。
時には、励まして、颯の背中を押したい。