両手いっぱいの花束をあなたに


「颯、最後までよくやりきったな」

「おー、俺たちにしちゃあ、頑張ったわな!!」


滝川くんと篠田くんが、颯の両肩に手を置いた。

それでも、颯は顔を上げずに俯いている。


「………俺の、俺の最後のボールが入ってればっ……」

「颯、お前のせいじゃ……」


そう言って滝川くんの手を、颯がパシンッ振り払った。


「俺のせいッスよ!!何で責めないんスか!!」


「颯……俺も真南斗も、コイツらも、みんなやりきっただろ、みんなの結果だぞ?」


篠田くんの言葉に、颯は首を振る。


「俺が、試合開始前からビビってんの、真南斗先輩は気づいてましたよね?なのに、信頼してジャンプボールも任せてくれた……それなのに、俺はっ!!」


悔しげに叫ぶ颯に、私は呆然と立ち尽くす事しか出来なかった。


こんな時、なんて声をかけたら良いの?

励ますのも、慰めるのも違う気がした。

どんな言葉も、颯を傷つけてしまいそうで…怖い。






< 249 / 351 >

この作品をシェア

pagetop