両手いっぱいの花束をあなたに
選手の控え室まで来ると、颯はスマホを手に、壁に背中を預けた状態で、私を待っていた。
どんな顔で声かけよう。
いつも通り、笑顔で…うん、それがいい。
前に、私の笑顔が見たいって、言ってくれたもんね。
「颯っ!!」
「…………おう、花音か」
私が声をかけると、颯はゆっくりと顔をこちらへと向けた。
そして、私の方へと歩いてくる。
「悪かった、負けて……」
颯は、私より背が高いのに、今は……すごく小さく見えるのは、颯が泣きそうな顔をしてるから?
「颯、私っ……勝ち負けで傍にいるんじゃないよ?」
「ん…わかってる……」
颯は、弱々しく私に笑みを向けた。
なのに、それは強がっているように見えて、痛々しかった。