両手いっぱいの花束をあなたに
「ただ、俺はもう……どうやってバスケをしたらいいのか、分からねーんだ……」
「どうやってって……いつもみたいに、楽しんだら……」
「最後の、あのシュートする瞬間……」
私の言葉を遮って、颯はポツリと呟く。
それに、私は口をつぐんで、耳を傾けた。
「俺の手が、仲間から勝利を奪った感覚が……消えねーんだ…っ」
颯は、自分の手を見つめて、震えた声でそう言った。
颯は、涙は出てないのに、泣いているように思えた。
「なぁ、いつもみたいって、なんだ?…楽しむってなんだ?そんな気持ち、あの、一瞬で全部ワケわからなくなった!!」
「っ!!」
颯が、こんなに大きな声を出したのを、私は初めて聞いた。
そして、驚く私に気づいた颯は、「悪い」と小さく呟いて、私に背を向ける。