両手いっぱいの花束をあなたに


「お前……」

「随分と、余裕ねぇーみたいだなぁ、チョコレート頭」


振り返ると、そこには、ジャージに着替えた黒崎くんがいた。

そして、その後ろには、呆れたように額に手を当てる、三雲くんがいる。


な、なんでこんな所に……って、そっか!!

ここは、選手の控え室だもんね、当たり前か!!


私は、叩かれた手をさすりながら、隣に立った黒崎くんの横顔を見上げた。


「守れねーなら、大切なモンなんか作るんじゃねーよ!!勇気が無ぇなら、戦うな!!」


黒崎の口調は、喧嘩を売ってるみたいなのに、その瞳は、どこまでも真剣だった。


「…………ハハッ、確かに……俺に、花音といる資格ねーよな…」


颯は、光を失った瞳で、そう呟いた。

その言葉に、私はトンカチで頭を殴られたような、衝撃を受ける。


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