両手いっぱいの花束をあなたに
「は、颯……何言って……」
「違うわ、颯じゃない。野木さんに、颯といる資格が無いのよ」
すると、颯の傍に、マネージャーの柿原さんが立った。
そして、腕を組んで私を睨み付ける。
「颯はね、一度も負けを知らないの。今回は、あなたを賭けた勝負でもあったし、無駄なプレッシャーが大きかった」
「私が、いたから……?」
ただ、傍にいて支えようとしただけ。
颯も、私がいると力が出るって、勝利の女神だって、言ってくれたのに……。
「それが、いつも通りのプレーが、出来なかった要因よ」
「そんな………ねぇ、颯……っ。私は、颯を追い詰めて……たの、かな?」
私は、震える声で、そう尋ねる。
お願い、「違う」って言って。
「そうじゃないよ」って、私に笑いかけてよ……。