両手いっぱいの花束をあなたに


「こんにちわ、ポピーさん」


すると、まるで「こんにちわ」と返事を返すように、ふわふわと風と共に揺れた。


公園の時計は、16時を差している。


この後はお店の手伝いがあるけれど、ここへ寄らずしてはいつも帰れない。


「今日は雨が降らなくて良かったね?君たちは雨がちょっぴり苦手だから…」


根が腐ったりしやすいんだよね。

人差し指でポンッとオレンジのポピーに触れる。

ゆらゆらして可愛いなぁ…。


「ふふっ」


ポピーを眺めながら微笑んでいると、ザクッと後ろで土を踏むおとが聞こえた。


「あ、あのっ!!」


すぐ近くで声が聞こえた。


「……?」

うーん、あれ?

もしかして、私に話しかけてるの……?

一瞬考え、やっぱりそうかもと思って、振り返る。



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