両手いっぱいの花束をあなたに
「私は、颯との毎日が、本当に大切だったんだよ…」
颯がいない未来なんて、もう想像出来ないんだよ…。
「でも、颯は違かったのかな………」
「………花音……」
黒崎くんが、何か言いたげに私を見たけど、私はクルリと控え室に、黒崎くんや三雲くん達に背を向けた。
「お、おい花音………」
「黒崎くん、三雲くん……傍にいてくれて、ありがとう。また…ね」
また……なんてあるのかな?
私と颯が、また言葉を交わす事はある?
颯のバスケを、応援する事は、もう出来ないかもしれない。
そしたら、黒崎くんや三雲くんには……もう会えないかもしれないよね…。
「花音……」
黒崎くんの悲しげな声と、三雲くんの視線が背中に刺さる。
颯……。
いつも隣を歩いてた颯とは、反対方向へ歩いてる。
私は、後ろ髪を引かれる思いで、一人、帰路についた。