両手いっぱいの花束をあなたに
9.カンパニュラ
颯が負けた決勝の日から、3日が経った。
インターハイまであと一週間。
もう、颯といる事さえ出来ないかもしれないのに、頭の中は颯の事ばかり。
私はというと、あの日から体育館へは行っていない。
まるで、最初から、私と颯は付き合ってなかったんじゃないと思うくらいに、接点が無くなった。
「颯………」
放課後、校門へと歩きながら、私は、スマホの電話帳の中にある、『颯』の名前を見つめる。
颯の名前、ちゃんとある……。
颯と過ごした時間は、夢なんかじゃないよ……。
「……………っ」
唇を引き結んで、私はトボトボと校門をくぐる。
すると、俯いて歩いていた私の前に、突然誰かが現れる。
ーポスッ!
「わぁっ!?」
私は見事に、その誰かに顔面衝突した。
な、なんだ突然!?
驚きに顔を上げると、そこには……。