両手いっぱいの花束をあなたに



「ヨォ、女神!!」

「黒崎くんっ!!」


他校の制服、うちとは違う学ランを来た黒崎くんが、手を挙げている。


黒崎くんとは、もう会えないって思ってたのに…。

まさか、こんなにすぐ会えるとは…。


「バスケ部に用事??」


あんな、颯にフラれるような姿を見られた手前、黒崎くんと顔を合わせるのが、少し気まずいな…。


「いーや、女神に用事」


女神に用事……。

女神=私。


「………私!?」


「そーそー!それとも、この後、用事でもあんのかよ?」


「用事っていうか、お店の手伝いがあるの。うち、花屋だから」


「花音ん家、花屋なのかよ!?なんか、分かる気がすんなぁ!」


いつもと変わらない……。

明るくて、少し声が大きい、黒崎くんだ。


私に、あの時の事で気を遣わせちゃうって、思ったけど……良かった。

 
なんだか、安心したなぁ……。






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